土つくりの目標

 土耕栽培で作物を育てる場合、土の機能が育てる作物にとってもっとも適した環境にしてやるのが土つくりの目標です。それと同時に地上部環境(光、温度、湿度、空気など)もその作物の生育過程において適した条件でなければなりません。
 植物の生育にとって、もっとも大切な機能を果たすものは、光合成の葉の役割と、水や養分を吸収する根の役割です。光の問題を除けば植物の生育は土壌条件に左右され、この土壌条件を最良の環境にするのが農家の土つくりの目標です。植物の育つ土壌には大小さまざまの隙間があり、この隙間が余分の水をはき又、必要な水分を保ち、根の呼吸のための酸素を供給します。
理想の土の状態は、水を持った部分(液相)が25%、空気を持った部分(気相)が20%、土の部分(固相)が55%(腐植物質が5%以上含まれていること)が理想です。。土を耕すことは、土の中に酸素を送り、微生物の働きを促し、団粒構造を作るのが目的です。団粒構造の維持を図るには土に腐植の含量を増す土つくりです。有機物(堆肥)が土壌に加わると 土壌微生物の働きで分解されそのほとんどが炭酸ガス・水・アンモニア等の無機物となり、一部が暗色無定形の高分子化合物(腐植物質)となり、腐植とはこの暗色物質と分解途中にある動植物遺体成分(非腐植物質)の全体をいいます。農家の土つくりは大切な役割をする腐植含量を高めることにあるといっても過言ではありません。
土壌の中の大切な腐植の働き

土壌の緩衝能とは
 動物の血液や、植物の汁液は、酸やアルカリを加えられても、そのPHの変化に対して急変を抑える性質をもっているが、この抵抗する性質を緩衝能という。土も緩衝能を持っており、これを高めるものは腐植である。腐植が多くなるとPHが安定し、養分の供給力、保肥力、保水力が向上し、土壌の持つ陽イオン交換能(CEC)を向上させます。
陽イオン交換能(CEC)とは
 土壌の保肥力の大小を示すもので、土壌を構成する粘土や腐植の粒子の表面にどれだけの陽イオン(Ca++,Mg++,K+,Na+,NH4+,H+等)を保持できるかを示すもので、略称をCEC(CationExchangeCapacity)といいます。単位はミリグラム当量(me)であらわします。CECは土性や粘土鉱物の種類によってその大小が異なり、一般的には土性が粗流粒質のときに小さく小さく、粘土鉱物ではモンモリロナイト及び腐植含量が多い土壌は大きい。
CECが小さいと、保肥力が小さいため、肥料切れしやすく、多く施すと塩類濃度障害により根痛みや値腐れを
起こしやすく、土壌が酸性化しやすい。
CECが大きいと、施用した肥料は長く保持されるが、反面、いったん微量要素が不足すると直りにくい、酸性化した場合、矯正に多くの石灰を必要とする。
土壌条件にあった堆肥
「堆肥は土つくりのために使うので肥料分はないほうがよい」とか「肥料効果がなければ堆肥でない」などそれぞれですが、堆肥にも原料によりさまざまな種類の堆肥があり含まれている肥料成分が異なり、作る作物や土壌条件により種類を選ぶ必要があります。基本的には土壌成分分析をやり足りない成分を補う堆肥を使います。
土壌腐植含量を高める木質堆肥
木質中には多量のリグニンが含まれ、このリグニンが土壌腐植の主原料となっており、木の外皮にもっとも多い。しかしながら作物の発芽や根の伸長を阻害する、タンニン酸フェノ−ル性物質、テルペン精油,ワックスなどが含まれており完熟醗酵した堆肥でなければなりません。完熟であれば、有害な重金属(水銀、鉛カドミュウム砒素、クロムなど)化学物質(PCB、ダイオキシン)などが含まれていまいため安全です。
木質堆肥製造工場
エコファ−ム長井(有)
住所 長井市寺泉4249-2
電話 0238-83-3420
伐採した樹木を粉砕機にかけて粉砕しているところ。 醗酵材、水分を補給して時間をかけ切り替えして 醗酵させ完熟堆肥とする。

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